患者由来がんモデル研究会
2021
2021年12月15日~17日
ご挨拶
「生体内の腫瘍細胞を人工的な環境に移して活かし続ける」患者由来がんモデルは、がんの発生や進展の分子機構の研究そして治療法の開発に用いられてきました。臨床に関係したところでは、提供者である患者の抗がん剤の効果を予測するのにも使われ、個別化医療を実現するツールとして期待されています。また、近年ではゲノム解析で同定される遺伝子の異常の生物学的・臨床的な意義を調べるためにも必要とされています。「患者由来がんモデル」はこれからもがん研究において重要な位置を占めていくでしょう。
一方で「患者由来がんモデル」には解決するべき問題が依然として残されています。たとえば、細胞株もゼノグラフトも樹立には時間がかかり、がん種によって樹立は困難です。また、「患者由来がんモデル」と生体とでは、抗がん剤の効果に乖離が認められることも知られています。そして、「患者由来がんモデル」が入手できないがん種がたくさんあり、バイオバンクはうまく機能していません。このような課題を解決していくことで、この分野は発展には必要です。
本研究会では、「患者由来がんモデル」に関わる研究を行っておられる研究者の方々に御発表をお願いしました。本分野に関係するトピックスをとりあげていただき、活発な議論が展開されることを期待しています。
本研究会が「患者由来がんモデル」に興味のある方々の活発な交流の場となることを願い、御参加をお待ちしています。末筆ながら、皆様の臨床・研究・ビジネスの益々の御発展をお祈り申し上げます。